防水工事

家というのはあらゆる場所からあらゆる方法で水による影響を受けます。

人が暮らすことによる湿気や雨による水気に対して何も対策を取らないと、
内部の木鉄部がダメになったりして家に深刻な被害をもたらします。
こちらでは、防水工事における基本的な施工手順をご説明いたします。

ウレタン防水工事

ウレタン防水

ウレタン防水工事には、X-1工法とX-2工法があります。

X-1工法は補修が容易で、下地形状が複雑な場合でも、対応が可能な工法です。
仕上がりは継ぎ目のない均一なものになります。
通気緩衝シートを入れるため、水分による防水層のふくれという問題を防止して下地の挙動を緩衝してくれるため、押えコンクリートの上のかぶせ工法に適しています。

対して、X-2工法はコストが安く防水層が軽量で、建築物に負担をかけない工法です。
立ち上がり部や設備基礎などの複雑な部位への施工も可能でバラベットなどの天端への施工もできます。
しかし、材料が溶剤型で臭気を発生することや、塗膜の均一性が難しいというデメリットがあります。
通気性能を持たないため膨れや破断が起きやすく、雨漏りしている建物には向いていません。

どちらの工法も各工程で乾燥期間が必要になるため、工事期間が長くなりやすい点と、ウレタンが紫外線に弱いため、定期的なトップコートの塗り替えが必要になります。

X-1工法

1.エラスタイト目地撤去

2.下地調整

3.エラスタイト目地シーリング

4.プライマー塗布

5.通気シート貼付け

6.脱気筒設置

7.メッシュクロス貼り

8.ウレタン一層目・二層目

9.トップコート塗布・清掃

10.最終チェック

11.足場解体・お引渡し

12.工事後のご挨拶・保証書発行
・アフターサービスの開始

 

※X-2工法は、上述のX-1工法から1・3・5・6の工程を除いた、通気性を持たせず直接ウレタン塗膜防水を施工する工法になります。

 

1.エラスタイト目地撤去

エラスタイト目地とよばれる、上の床板をつなぐ目地を設去します。

 

2.下地調整

下地の亀裂やへこみ、傷などを補修します。
雨風などで角の取れてしまっている部分などもしっかり角を作り直します。

 

3.エラスタイト目地シーリング

撤去した目地を新規に埋めなおします。

 

4.プライマー塗布

接着効果のあるプライマーを塗布します。

 

5.通気シート貼付け

コンクリートに直接ウレタンを渡すと、内側から生じる湿気などによって塗膜が影れ、破損する可能性があります。
その空気を逃がすため、通り道の役目を持つシートを貼り付けます。

 

6.脱気筒設置

5で作った道を通った空気の逃げ場所として、脱気筒を設置します。
脱気筒の設置位貨として適切なのは、屋上のドレン(排水管口)の対角になります。
これは屋上がドレンに向けた下り傾斜を持つため、その対角が上に逃げる性質を持つ蒸気の出口に適しているからです。

 

7.メッシュクロス貼り

補強材としての効果を持つメッシュクロスを貼り付けます。

 

8.ウレタン一層目・二層目

ウレタン防水材を2回に分けて流し込みます。
コテやローラーを使い、かすれやくぼみなどがでないようにムラなく塗っていきます。

 

9.トップコート塗布・清掃

先述の通りウレタン塗膜は紫外線に弱いため、最後にトップコートを塗布します。

 

10.最終チェック

まずは職人や施工管理の者が家の周りをしっかりと確認し、塗り残しがないか、余計な部分に塗料が付着していないかなどをチェックします。
その後、施主様にご同行頂き家の周りを最終チェックします。
基本的に塗った後10年間は塗り直さないので、これ以上ないぐらいに確認作業は念入りに行います。

 

11.足場解体・お引渡し

これまでぐるっと家を囲っていた飛散防止シートと、仮設足場を解体します。
この時に新しくなった家全体を見ることが出来ます。
気になる部分がないか再度確認を行います。
ポイントとしては、一度きちんと確認することです。
昼の見え方、夕方の見え方、夜の見え方と太陽の位置や光の当たり具合によって、外見は異なる見え方をします。
様々な状況下で確認することが必要です。
工事の内容に問題がないことに両者ともに納得すればお引渡しとなります。

 

12.工事後のご挨拶・保証書発行
・アフターサービスの開始

ご迷惑をおかけした近隣の方々への挨拶回りを済ませ、後日、施工保証書を発行しお渡しすることになります。
当社は施工完了日から規定の年数まで、アフターサービスの対象となります。
詳細は保証書に記載されることになるため、取り決めの範囲内であれば施工箇所の修復などを無償でお引き受けいたします。

 

 

塩ビシート防水

シート防水とは

塩ビシート

シート防水とは、塩化ビニールやゴム製のシートを施工箇所に接着し、水の侵入を防ぐ工事です。
この工事には、以下の2種類の工法があります。

施工箇所に合っていないものを選ぶと、工事後に不具合が発生する原因となります。
施工を依頼する際は工事前に必ず専門業者に点検を依頼し、どちらの工法か決定しましょう。

 

①密着工法

専用の接着剤で施工箇所とシートを接着する工法

通気性は無いので、まだ雨漏りしていない箇所向けです。接着剤を使用するため、施工箇所を十分に乾燥させる必要があります。

 

②機械固定工法

専用の機械で施工箇所とシートを接着する工法

密着工法と違い、施工箇所からシートの一部が浮いた状態になる工法です。通気性を確保できるので、雨漏りしていても施工可能です。

 

補足:使用する材料で耐用年数が変わります。

シート防水で使われるシートの材質で、耐用年数は変化します。

■耐用年数・シートの厚さの比較
塩ビシート 
耐用年数:13~15年 
シートの厚さ:1.5~2.5mm

ゴムシート 
耐用年数:10~12年 
シートの厚さ:1.2~2mm

塩ビシートに比べ、ゴムシートは薄いため鳥についばまれてしまったり外からの衝撃で傷みやすいです。
その為、現在では傷みにくい塩ビシートを使って施工するのが一般的です

 

シート防水のメリット・デメリット

【メリット】下地を選ばず施工可能

1度目の防水工事はもちろん、前に行った防水工事がシート防水以外のものでも、シート防水は施工可能です。 理由は以下の2つです。

①シートをそのまま上から被せて防水機能を発揮する工事のため、前にシート防水以外の工事を行った箇所でも施工できる。

②直接接着しない工法(機械固定工法)を使用することで、湿気の影響をほとんど無くすことができる。

例えば、ウレタン防水を行った屋上の上にFRP防水を行うと、後から表面が膨れてしまうケースがありますが、シート防水なら施工後に不具合が起こってしまう心配がありません。
シート防水なら、下地と防水材の相性が原因で起こる不具合を防げます。

 

【メリット】耐久性に優れている

防水工事の種類  耐用年数
ウレタン防水   8~10年
FRP防水     10~12年
シート防水    10~15年
アスファルト防水 15~20年

シート防水は、防水工事の中でも耐久性に優れています。 熱や紫外線に強く防水性のあるシートの為、最大で15年程度長持ちさせられます。 何度も足場を建てるのが難しいビル・アパートにおすすめです。

※使用するシートがゴムシートか塩ビシートかで耐用年数は変化します。
ゴムシートの方が薄く、鳥についばまれて穴が開いてしまうことが多いため、最近では塩ビシートで施工することが一般的です。

 

【メリット】広い面積を一度に施工できるので、工期短縮が可能

防水工事の種類  工期
ウレタン防水   3~10日
FRP防水     1~2日
シート防水    2~4日
アスファルト防水 5~7日

※面積、下地処理・準備等で日数は変動します。
シート防水ならビルやアパートも短期間で施工可能です。
防水材が既成のシートで厚さが一定なので、広い面積も一度にむらなく施工可能だからです。
ウレタン防水のように、液体の防水材を塗装する方法の場合、乾燥する時間が必要な上、職人の腕次第でムラが出てしまう恐れがあります。
効率よく、綺麗に仕上げるならシート防水がおすすめです。

 

【デメリット】複雑な施工箇所には不向き

シート防水は、凹凸や固定されている物が多い箇所には不向きです。
なぜなら防水材がシート状なので、複雑な形状の箇所を覆うのが難しいためです。
シートの隙間から水が入り、施工後に漏水するおそれがあります。
複雑な形状の箇所への防水を検討されているなら、ウレタン防水も候補に入れた上で専門業者に相談しましょう。

 

【デメリット】工事中に振動音が発生する

シート防水のうち、機械固定工法を行う場合は振動音が発生してしまいます。
シートを接着するための金具の固定の際、ドリルを使う必要があるためです。
そのため、工事前に入居者の方へのあいさつ・作業時間帯の案内が必須になります。
なにも説明をせず工事にはいってしまうと、トラブルの原因となります。
スムーズに工事をするためにも、入居者の方への説明も丁寧にしてくれる業者に依頼すると安心です。

 

 

FRP防水

FTP防水

FRP系防水は、Fiberglass Reinforced Plasticsの略称で、繊維強化プラスチックに分類されます。
はじめにポリエステル樹脂を塗布し、その上にガラスマットを貼り付けていきます。そこに防水用ポリエステル樹脂を染み込ませていき、硬化させる方法です。その後、必要量のポリエステル樹脂を塗布していき、最終的にFRP系防水層を形成します。

特徴

①耐水性、耐薬品性、耐久性に優れる

ポリエステル樹脂とガラス繊維の組み合わせにより、耐水性、耐薬品性、耐久性に優れています。

 

②短工期で施工可能

乾きやすい素材のため、工期が短く済みます。

 

③複雑な場所でも対応可能

柔軟性もあるため、施工場所の形にあわせやすいです。

 

④美しい仕上がり

ポリエステル樹脂を塗装する方法のため、防水材の継ぎ目がなく、美しい仕上がりになります。

 

⑤カラーバリエーションが豊富

灰色、黒色、黄色、青色などカラーバリエーションが豊富です。

 

どんな時に使う工法なのか

軽量でありながら強度が高いFRP防水は、木造などの荷重負担をかけたくない建物の屋上などに適している工法です。また、その強度のおかげで防水層の上を直接歩行できるため、洗濯物を干すための屋上などにも活用されています。
ただし、材質が硬いため下地の動きへの追従性が無く、安定性の低い木造の広いバルコニーでは、施工前の検討や、施工時の注意が必要です。

 

 

長尺シート工事

長尺シート

長尺シートとは摩耗に強く、店舗や公共施設など人がよく歩く場所に使用されているシート状床材です。消毒薬や薬品を使う場所に適した耐薬性があるもの、転倒時の衝撃を吸収するクッシュン性があるものなど、機能性に込んだ商品もあります。

1.既存撤去・ケレン作業・清掃

新規で長尺シートを設置する場合が多いですが、もしも既存がある時はまず既存を撤去することになります。
カワスキなどで削り取り、細かい突起はペーパーなどでケレンして清掃します。

2.下地調整

下地が痛んでいたりする時はシートを貼り付ける前に下地を補修します。
接着効果のあるプライマーを塗布し、セメント・モルタルなどをコテで塗り広げて接地面をなだらかにします。

3.ボンド塗布・長尺シート貼付け

 

4.シート間溶接(溶着)

専用の溶接機を使用して溶接を流し込み、各シート間の間を埋めつつ継ぎ目を溶接していきます。
場合によってはシーム材と呼ばれる専用の継ぎ目処理部材を用いて、シートを溶着させることもあります。

5.端末シーリング

端末シーリングとは、壁面と床のような、部材と部材の間の取合いをシーリング材で埋め、気密・防水性を確保する作業のことです。
シーリングは、建築分野ではコーキングとも呼ばれます。
大規模修工事においては、古くなったシーリング材を剥がして、新しいシーリング材を打設する作業が行われます。
この時、シーリング材は主に雨の掛かる部位に多く使われているので、古くなったシーリング材を剥がした時は、降雨による雨漏れに備えて、作業は一日で済ます必要があります。